ガラテヤの信徒への手紙3章15~20節
高松教会 村上貴志 牧師
今日は、幼児祝福式です。
今年生まれた小さな赤ちゃんから中高生まで、神さまとイエスさまと共に、これまでと同じように、守られ祝された歩みが与えられますよう、教会全員で願い・祈り、喜びを確信する日です。
ひと時の礼拝の中で、その事を深く思うのです。
今日の聖書のお話は、「律法と約束」というタイトルがついています。
「律法」は、モーセの時に、神さまが、私たちに与えて下さった言葉です。
最初は、10の言葉でしたが、だんだん増えきて今のユダヤでは、とっても沢山あるようです。出エジプト記20章。申命記5章に、そのお言葉があります。
イスラエルの人たちは、この十戒や律法を守っていたら、神さまと共にいる事が出来ると、「救われる」と、思っていました。
その事に対して、パウロさんは、「ちょっと違いますよ」と、言います。
ユダヤの人たちは、「でも、神さまから教えて頂いた律法を守る事は、大切な事じゃないのですか?神さまからのお約束を守っている事になるでしょう?私たちが 一生懸命に神さまの事を思っているのだから、それで良いのじゃないですか?」と、パウロに問いました。
パウロは、「違いますよ。人が、神さまと共にいて祝福されることは、神さまが最初に決められた約束なのですよ。もう、決まっている事なのです」と、言います。
旧約聖書の中で、「アブラハムさんの子孫が祝福に与る」と、神さまは約束してくださいました。アブラハムさんの子供たちとは、「イスラエルのことだ」とユダヤの人たちは、思っていますが、「本当は、そうではないのですよ。」と、言います。
それは、「たった一人『イエスさま』のことなのですよ。」と、教えてくれたのです。
神さまからの本当のお約束は、「イスラエルの内に生まれさせる主イエス・キリストこそ、救いの約束なのです。福音に照らしてみると明らかです。」と言うのです。
私たちが、手にしている、聖書。
旧約聖書と新約聖書。
「約」と言う言葉の中の一つの意味は、「約束」です。
神さまが、して下さった約束。アダムとエバの時に、神さまから離れてしまった人間を、再び神さまの元に置いてくださるという事。アダムとエバの時に、「神さまの事を知らない」と言ってしまった人間のあやまちを赦して下さる事。「神さまが、して下さる」という、約束でした。
でも、アブラハムから430年たった時、モーセを通して十戒が、与えられました。「これを守ったら、神さまと共にいることができる」と、勝手に人間は、思ってしまいました。神さまからいただいた律法なのですから、「とっても大事な事に違いない」と、思ったのです。ですから、熱心に守ろうとしました。
でも、ちょっと待ってください。神さまのお約束は、「イエスさまを通して、…。」でした。
パウロは、聞きます。
「ユダヤの人たち。いつ、神さまからのお約束が、変わったのですか?『律法』からですか?」
違います。違いますよ。
律法とは、神さまからの新しい約束ではなく、私たちが、神さまの道を進むために、
自分を見つめ直すために与えられたなものなのです。「すべきこと」ではなく、
神さまが、「既に、私たちを御国に招いて下さった事、救いの中に入れて下さった事」に、
感謝の思いを感じ、祈りを捧げるために教えて下さった事なのです。
守ることが、神さまとの約束を与えられる事には、繋がらないのです。
「私が、一生懸命頑張らなくても、そうなるなんて、信じられない。」
そう思っていた人たちに、パウロさんは、言います。
「信じられないでしょ?だから、神さまの独り子であるイエスさまが、神さまの所から、
私たちの所に来てくださって、本当の神さまについてのお話をして下さり、十字架に架かり、
私たちを、神さまの元に招いてくださったのです。」
「約」の二つ目の意味。
それは、「契約」です。
神さまと人との間に交わされた、契約。
アブラハムを通して、告げられた契約は、「神さまが、私たち人間を愛して愛して愛し抜かれて、大いなる憐れみの思いを持って、離れてしまった私たちを、神さまの国に、連れ戻してくださる」と言う事でした。
その契約には、「人が、何かをするように」とは、有りませんでした。
たった一つ「イエスさまを通して、与えて下さる」だけだったのです。
私たちは、何もしなくても良いのでしょうか?一つだけありました。
「この救いの約束を信じる事。全ての人が、救われるという約束を信じる事」です。
これは、「約」の三つ目の意味にも通じています。
「遺言」。
イエスさまが、十字架の業の後に、弟子たちの前に現れて残された言葉。マタイ28章18~20節
「全ての人に」アブラハムに神さまが約束されたように、全ての人に、主イエス・キリスト通して、伝えるよう命じられたのです。神さまの恵みによる約束の大切さを、イエスさまは、実現され教えて下さいました。